六本指のゴルトベルク
青柳 いづみこ
極上の音楽小説ブックガイド
古今東西の音楽小説を取り上げ、プロの音楽家の視点で読み解き紹介する本エッセイ。軽妙な語り口で読み解く試みが独特で「こんな読み方があったのか!」目ウロコしまくり。取り上げられる本も古典からミステリまでと幅広く、青柳さんの読書範囲の広さにも驚かされる。未読の本はもちろんのこと、既読の本でもまた読みたくなるし、取り上げられる音楽を実際に聞きたくなってくる。魅惑的なブックガイドであるのと同時に、音楽ガイドでもあるのかも。 実体験やプロの音楽家の実際のエピソードを枕にして本に繋げていく仕方も見事だし、紹介する本の登場人物らに思いっきり感情移入しながら文章を綴られるところにも好印象。さりげなく一般人には窺い知ることのできない音楽業界の体質や暗部について知ることができて、そういう意味でも面白かった。 この本を手引きにして、本に音楽に耽溺したい。
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遠くの声に耳を澄ませて
宮下 奈都
人生は旅
「旅」をテーマに、ゆるやかに繋がる連作集。一見不可解に思えるタイトルが、読み終えるとすとんと腑に落ちるところもいいが、登場人物それぞれが生きてきた人生が断片から垣間見れ、その生の重みが感じられるところがいい。どの人物にも、単なる小説の登場人物以上の近しさを感じさせるところが、作者の腕かも。人生は旅だなあ。旅は、人によって点から点の移動だけじゃないそれ以上の意味なり価値があるものなのねえ。特に印象深かったのは「うなぎ」の濱岡さんの事。ほろり。
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レオくん (フラワーコミックスアルファ)
萩尾 望都
レオくんの毎日はわくわくする驚きがいっぱい!
萩尾望都さんの愛猫レオくんをモデルにした猫ファンタジー。大島弓子さんの猫エッセイマンガや擬人化された作品とはまた雰囲気が異なり、レオくんは猫の姿のまま登場する。レオくんやその他の猫と人間とが何の違和感なく会話していたり、小学校に入学したり、お見合いをしたり、レオくんが猫の姿のまま人間世界に受け入れられている様子は微笑ましく、「こうだったらいいなあ」愛猫家の願望を満たしてくれる作品だと思うけれど、その反面、レオくんが一生懸命頑張るものの猫ゆえに人間がやるようにはできず失敗ばかりしている姿には心が痛み、読むのが辛い場面も。レオくんのぷっくりした姿やしぐさは、いかにも猫好きな人が描いたらしく猫の感じがよく出ているし可愛らしいのに。8編収録されたうち好きだったのは、『夏への扉』のピートを連想した「お外に出して」と「ヤマトちゃんの恋」。
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本と女の子 おもいでの1960-70年代 (らんぷの本)
近代 ナリコ
宇野亜喜良なくして、当時の女の子文化は語れない。
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恋細工
西條 奈加
ああ、切ない。苦手なはずの時代ものなのに、つい作品に引き込まれて一気読みしてしまった。四代続いた錺職椋屋の五代目選びに、お凛の淡い恋心が絡む。後継者の一人と招かれた天才肌、だけど協調性を欠いて我儘な時蔵への反発と「平戸」という繊細で高度な技術への純粋な憧憬。いつしか時蔵への思いは色合いを変えていく。と同時に「平戸」の技を身につけようと奮闘する中で、さりげなく女だてらに錺職人として腕前を上げていくお凜の成長物語でもある。誰を5代目としてお凜は選ぶのか。天保の改革を背景に、名前の通り凜とした一人の女性の恋と成長を描く。こうなるしかないと分かっていても、ああ、やっぱり切ない。江戸の庶民文化や世相風俗をさりげなく織り込み、その当時の空気が伝わってくるかのようなところもいい。FTの賞でデヴューした作家さんだけど、こういう作品が書きたかったのかと腑に落ちた気分になった。繊細で美しい物語、堪能しました♪
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バクマン。 3 (ジャンプコミックス)
大場 つぐみ
やばい。天才肌のエイジが、単なる漫画バカないいヤツに見えてしまった(笑)。ライバル同士なのに、熱く夢を語り合う姿や、夢の実現に向かって互いに互いを刺激し合う戦友というスタンスがいいなあ(まさしく王道のジャンプ漫画!)。しかし、もうちょっと待たされそう。4巻が早く読みたい。あ、私も、見吉さんの胸に釘付けに(笑)。
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ポポイ (新潮文庫)
倉橋 由美子
ポポイと舞の関係に「サロメ」、三島由紀夫など先行する作品、絵画、人物のイメージを重ね、物語に奥行きを与える趣向が心憎い(しかも作中人物にそうと語らせるなんて!)。「生首を飼う」という奇想はもちろんのこと、全編に散りばめられた毒、少女の残酷さ、エロティシズムが硬質な文章で綴られて美しい。ラジオドラマ化されたとか。音源があるなら聴いてみたい。
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