さよなら!僕らのソニー (文春新書)
立石 泰則
日本を代表するメーカー、ソニー衰退の裏事情。
かつてのソニーは、高品質な製品を作る代表的な企業として有名だったが、創業者亡き後、徐々にその評判が低下し現在では普通の電機メーカーになってしまった。長年ソニーを取材し続けてきた著者は、経営の度重なる方針転換が現在の状況を招いたと考える。時代をリードする技術を持ちながら、それを製品に生かせなかったこと。時代の流れを読み切れず、ユーザーの志向の変化についていけなかったこと。創業時の指針に反し、メーカーでありながら、コンテンツビジネスを重視したことで、核となる収益手段を失ったことが要因と指摘する。また経営者が会社を纏めきれないことも原因としている。 著者は、現在も様々な問題を抱えており、昔のような優秀な製品を生み出すソニーは戻ってこないと考えている。 若い頃、ソニーの製品を買った人達は、みんな誇らしげでした。ソニーは高性能の代名詞で、高価でなかなか手が出ないので持っている人が羨ましかった記憶があります。 また、優秀な企業として、多くのビジネス書に成功例として採り上げられていたのを思い出します。しかし、創業者が相次いで亡くなった頃から、革新的な製品が出なくなり業績が悪くなってきている印象があります。この本を読むとその理由が判るような気がしました。 歴史は繰り返すと言いますので、AppleやSamsongもソニーのように凋落するのか、ソニーを教訓に益々発展するのか、今後の動向が気になります。
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F-22はなぜ最強といわれるのか ステルス、スーパークルーズなど最新鋭戦闘機に使われるテクノロジーの秘密に迫る (サイエンス・アイ新書)
青木 謙知
F-22のスペックは最強ですが、、。
タイトル通りの最新鋭戦闘機の解説本。 航空雑誌等で大体内容は知っていたが、この本のようにコンパクトにまとめてあると判りやすい。日本の自衛隊がこの戦闘機を欲しがった理由もよく判る。とにかくあらゆるスペックが最高で、他の戦闘機を圧倒する能力がある。ステルス性能を活かせば、自身が捕捉されること無く相手を倒せるという戦術理論が素晴らしい。 但し、この最強戦闘機も未だに実戦投入されたことがなく、果たして理論通りの性能を発揮できるかどうかは不明である。野球でも練習ではもの凄いボールを投げても、本番の試合ではダメというピッチャーもいるように、F-22も性能は抜群でも、相手が想定外の戦術で対応したり、パイロットが能力を発揮できないと宝の持ち腐れということにもなりかねない。使う人の能力が問われる兵器です。 この戦闘機が実戦投入されないことが、世界にとって一番幸せなことかもしれませんね。
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ニッポンの書評 (光文社新書)
豊崎 由美
書評家の著者が現代日本の書評事情について意見する。
「書評」と「批評」は同じようなものと思っていたが、定義が違うらしい。「書評」は基本として本の発売前に紹介するもので、「批評」は読後の評価である。書評は時間や内容に制約があり、一定の文字数で読者に興味を持たせる紹介文を書くことが求められている。(それが評者の力量になる)昔はあらすじの紹介もある程度許されていたが、現代の特にミステリー系やエンタメ系の分野では「ネタバレ」と言われ、度々問題視される。特にベテランの純文学系の書評家には、そういう文章を書く人が多い。著者はある程度のあらすじの紹介は必要と考えているが、どこまで紹介するのかの匙加減が難しいと考えている。。。と、ここまで感想を書いてきて、自分もネタバレをやっているような気がする。(著者もネットで匿名の個人での批判的な書評を問題視している) その他にも書評を巡る多くの問題について著者の見解が書かれているが、文学をあまり読まない自分には、よく判らない意見も多かった。ノンフィクション好きには、あらすじや内容の紹介は購入の決め手になるので、有り難いものです。 しかし、書評家は作者や読者や同業者に気を遣って、相当ストレスが溜まりそうな仕事です。本当に本が好きな人でないと務まりませんね。
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ハムレット シェイクスピア全集 〔23〕 白水Uブックス
ウィリアム・シェイクスピア
優柔不断な王子の物語
ハムレットは優柔不断な王子という意見もあるようですが、人間悩むといろいろ考えて行動に移れないものです。現代にはツイッターという便利なつぶやきグッズがあるので、もし現代のドラマだったら、これでアドバイスをもらったりして、ひとりで悩むこともなかったかも。でもそうすると、このドラマは成立しないかな。 古典の名作ですが、脚本なので台詞ばかりの読み難さはあるけれど、一度は読んでみる価値はあると思う。名セリフが多くて、読んだ後は、自分の教養レベルが上がったような気分になれます。
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日本を滅ぼす〈世間の良識〉 (講談社現代新書)
森巣 博
心配してくれてありがとう。
オーストラリア在住の著者の目から見た日本のメディアと政治・社会。雑誌のコラム記事を集めたもので、やや過激な文章で日本のメディアや政治社会の現状について考察している。著者の言い分はおそらく正しいと思うけれど、文章は読んでいてやや苦しい。自分は「チュウサン階級」(中学3年卒のこと)であり、日本の現状は学歴の無い自分でも心配と言いたいらしい。 日本の政治・社会・メディアが様々な問題を抱えていることは、多くのジャーナリストが指摘しているし、海外に在住されている人から指摘されなくても判っている事が多い。政治や制度、メディアのいい加減さには不満も感じるが、日本に住む以上はそういう世間と折り合って生きていなくてはいけない。 メディアに振り回されないように、情報を鵜呑みにせず、関係ないと思うことは聞き流せば良いように思いますけどね。
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競馬裏事件史 これが真相だ!! (宝島社文庫)
著者なし
競馬界の三面記事
競馬に纏わる様々な事件やエピソードを集めたムック本の文庫化。 タイトルにある「競馬をめぐる事件は感情移入できる優れた物語である」猛勉強でJRA試験に合格してしまった赤木騎手のエピソードや、アグネスフウジンのオーナーの自殺、エルコンドルパサーの欧州挑戦の舞台裏、地方競馬衰退の真相、高額サンデーサイレンス産駒が走らなかった理由など、競馬好きなら気になる話題を取り上げていて面白い。競馬界の三面記事のような感じだが、これも競馬の楽しみ方のひとつ。但し、馬券に役立つ情報は何も無い。
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描かれた技術 科学のかたち―サイエンス・イコノロジーの世界
橋本 毅彦
科学・技術は図像によっていかに伝承されてきたか。
サイエンス・イコノロジーの世界の話。 科学・技術の発展に図像が果たした役割は大変大きい。日本の職人の風景では、刀匠の仕事場ではどのように刀が作られているかが描かれ、宮大工の仕事ぶりが紹介されている。アグリコラによる鉱山開発の方法、灯台の土木工事、ダ・ヴィンチのアイデアスケッチなどが紹介される。 また科学の世界でも天体や動植物の記録やアイデアを補足するうえで、図像の存在は欠かせない。文章だけでは伝えきれないイメージを固定させる意味で、図像の果たす役割は大きかったと言える。 普段、仕事の中でも他人への説明に図像を使う利便性は感じている。パワーポイントのようなプレゼンツールが流行るのも図像の分かりやすさを誰もが認識しているからだろう。 この本で気になった記述があった。 顕微鏡の発明者レーウェンフックは絵が下手で、助手に書いてもらっていたらしい。「動的平衡2」の福岡教授は、同じ時期にデルフトに居たフェルメールではないかと推測している記述があったが、これは既に結論が出ていて、トーマス・ファン・デァ・ヴァルトとその子ヴィレムと判明している。専門外の福岡教授は独自の推測で、自説を本・雑誌等に書いていますが、科学史を研究している専門家の世界は、一歩先を行っているように思いました。
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流れ: 自然が創り出す美しいパターン
フィリップ ボール
流体力学、いとをかし。
著者によるポピュラーサイエンス三部作の2作目。「流体力学」に焦点を当てて、判りやすく解説する。 レオナルド=ダ・ヴィンチの絵画は、水の流れにインスピレーションを受けていたという考察に始まり、下流のパターン秩序、流体力学の重要な値:レイノルズ数、カルマン渦列、ケルヴィン=ホルムヘルツ不安定性、木星の大赤斑、レイリー数、レイリー=ベルナール対流、砂丘の模様、安定最大角、安息角、1/fベキ乗則、グーテンベルグ=リヒター法則、ブラジル=ナッツ効果、群れ、などを、木星の大赤斑や砂丘の模様など多くの事例を使って解説している。 流体というのは、空気や水の流れのように日常生活の中で常に接するものであり、大変身近な存在ですが、これらの物質に纏わる現象を説明しようとすると難しさを感じます。例えば、パイプを通る水の流速は、中央が速く淵のほうが遅くなる。それは壁の摩擦の影響が大きいという簡単なモデルで説明できます。しかしながら、少し複雑なモデルになると理論通りに行かない難しさもあり、この分野の奥深さもあるようです。 ちなみにこの本で紹介されている気に入った現象は、「ブラジルナッツ効果」です。大きなナッツは、袋を振ると段々上に押し上げられるという理論で、これも流体力学で説明することができるようです。「かたち」よりも読みやすく、科学に疎い人でも楽しめる本です。
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タネが危ない
野口 勲
私が知らなかった野菜のタネの世界
著者は、若い頃は手塚治虫の下で編集者として活躍し、その後実家の種屋を継いで現在に至る経歴の方。 読んでみたが、野菜のことがいろいろ勉強になって面白かった。 野菜の種というのは現在、F1と呼ばれる一代限りの種が主流で、市場で流通している作物はこの種で生育されたものがほとんどである。この種の利点は、取れた作物の大きさや形が均一で見栄えが良いことや、生育までの期間が短い、病気に強い等市場が求める大量生産と農家が求める耕地の収穫効率アップに貢献していることなどである。その反面、野菜の持つ味やにおい等「野菜らしさ」にはやや欠けていて、味に個性がないし、一代限りなので、この野菜から取れる種は、次世代には使えない。或いは実を結ばないなどの欠点もある。 著者は、小規模な種屋として、従来型の固定種を販売しているが、美味いけれど形も大きさも不揃いな固定種は、市場からは少なくなっているのが現状である。(それがタイトルにもなっている)今一度、この在来型固定種で作られた野菜を見直して欲しいというのは著者の願いでもある。(手塚漫画のポリシーを各所に引用) 内容はエッセイ風で著者の経験と主張がとても判り易い。 昔は果物の種を取って育てたりしたが、現代の市場の野菜が一代限りのタネ作られているということは知らなかった。都市に住んでいると、値段の高い野菜=美味い野菜というイメージがあるが、供給側に立つと形が均一で味がそこそこで見栄えが良い=値段が高い野菜であって、美味い野菜なのに見栄えの良くない野菜は、出荷されず地元で消費されているらしい。固定種は世代を経る毎にその土地に馴染んだ美味い野菜になる。そこで著者は、何代でもタネが取れる固定種こそが、自家菜園に向くと考えてこれを推奨している。 マンガ「美味しんぼ」の山岡さんが、美味い野菜を求めて、田舎の産地を巡るのはその辺の事情をよく知っているのかも。
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かたち: 自然が創り出す美しいパターン
フィリップ・ボール
自然の「かたち」を学ぶために物理がある。
自然にある「かたち」がいかに作られるかがテーマ。様々な事例を挙げて、自然にある「かたち」は創造説のように神か創ったものでも、自然選択だけで創られたものでもなく、物理的な現象で作られていることを解説している。写真やイラストが多く、ビジュアルで判りやすく説明する意図は感じられる。読んでみて、提示された図や写真の例は判りやすいのだが、できるだけ数式を使わないで説明するという著者の説明の文章が難解で、頭の中に入っていかなかった。これは翻訳者の理解の問題もあるかもしれない。(原文が難しいのかもしれません)読み手にもある程度、科学的な素養が無いと完全に理解するのは難しいと思う。一般人向けの読み物・ポピュラーサイエンスというのであれば、文章にもう一工夫欲しい気もしました。 とはいえ、科学に詳しくない自分には、取り上げた事象に初めて聞くような名前や法則があって、科学者というのは誰も気にしない些細な世界でも深く研究し業績を残していることがよく判った。こういう本の楽しみ方は、知らない世界を知ることにあるのだから、たとえ理論が理解できなくても、先人達の業績や事象の名前を覚えるだけでも読む価値はあると思います。
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