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テスト氏 (福武文庫)

ポール ヴァレリー

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「精神の島」 精神とは方法のことである
2011/12/25
ユイスマンスの『さかしま』を読み、マラルメと出会い、ポーの『ユーリカ』を絶賛し誰にも似ない自分だけの「精神の島」を創り上げようとした。反自然主義の金字塔。
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天風の彩王―藤原不比等〈上〉

黒岩 重吾

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折口信夫『死者の書』以来すっかり古代史がマイブームとなってしまったが、そんななかでも藤原氏に関する著書はある種捨て置けないテーマと思えた。というのも中臣鎌足以来それを継ぐ不比等が天皇家の外戚として営々として実権を握り続け今日に至るまで日本の政治・経済の黒幕として続いていることを知ったからでもある。
 昭和の内閣総理大臣近衛文麿が天皇の前で足を組んで対峙している図を思い浮かべればいかに藤原氏族の存在が大きいかわかる。
 近衛家は、五摂家筆頭の公家。家名は、平安京の近衛小路に由来する。本姓は藤原氏で北家の嫡流にあたる。摂関家には近衛流と九条流があるが、どちらか一方を本家と決めることはできない。
また明治・大正・昭和と天皇家に嫁し皇后となったのは全て藤原一族からである。更に日本経済において多くの財閥にも彼等は血族の枝を広げているのだから、大袈裟に言っても少なからず我々の生活に影を落としていると言っていいだろう。
そんな興味もあって古代律令政治の根幹を創り上げ、天皇家の外戚としてその後千年の礎をなした不比等の生涯を追ってみようというきになった。
 不比等に関する文献は膨大にあるのだが、この黒岩重吾の著『天風の彩王』は小説であるところから、物語から歴史をみるということになる。
 不比等について歴史に記録されるのは彼の三十代からのものしかなく、それ以前には何も記録らしいものはでてこない。にもかかわらず中臣鎌足の嫡男として少年期からの物語を描いているには、父鎌足との関係が微妙に冷たいものに描かれているからだ。それには不比等の出自に原因があったことを臭わせるためでもあった。鎌足は中大兄皇子後の天智天皇より蘇我蝦夷・入鹿を共に征伐した報償に妃であった鏡女子と安見児(やすみこ)を貰い受ける。 史(不比等)の母とされる安見児にはすでに中大兄皇子の子を宿してしたという説もあり、史の人生には自分は天智の子であるという口には出来ない思いが影を落とし続けていた。そのことは彼の庇護者ともなった天武天皇の后、天智の娘(後の持統天皇)によって重く重んじられ順風満帆の人生を描くことにもなる。彼の幼い時からの学識が政治の場面で開花するのは天智とその弟天武が争った壬申の乱以後の天武の時代ではなく、天武が薨去して後持統の時代となるまで逼塞したものだった。しかし一転して持統の時になって頭角を現すのには、彼の学識ばかりではなく持統と極少数の者しか実際を知らない暗黙の了解があったからだと記されている。史はそのことを表だって口にすることはなく、学識と知謀をつくして政界の頂上に登り詰めていく。
 本著は小説としての脚色はあるものの古代史ばかりではなく、後の五摂家の筆頭を走り続ける藤原権力の嚆矢とも言える人物の生涯を描いた作品である。
 尚『死者の書』のモデルとなった中将姫は藤原南家豊成の娘である。
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評伝正岡子規 (岩波文庫)

柴田 宵曲

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2011/12/18
年次的に子規の執筆の跡を追っているが、年を追うごとに熟成していく彼の批判力、句作の老成ぶりが理解できる。
司馬遼太郎『坂の上の雲』では、文庫本3冊目の冒頭で子規は没しており、あっけなかった。日露戦争の戦記がその後メインをなすことになれば致し方ないのだろうが、もう少し子規の子細について知りたかった気がする。
 その点この『評伝』からは、短い彼の半生を細部にわたって読み知るきっかけになる。
 子規全集を祖父が持っていたおかげで、柴田氏が引用する記述を源本で確認することができ、源本をあたることで更に新しい発見が得られるということは誠に有り難い。
7年にわたり彼を悩ませた喀血の模様を、「啼血始末」「読書弁」「血のあや」という三編にした『子規子』があるが、なかでも「啼血始末」などは、まるで芥川龍之介の短編でも読むような面白みがある。
閻魔大王のもとに引き立てられた、その他にも検事として牛頭赤鬼と馬頭青鬼に立ち会って「子規生」が喀血に至る次第やその後の様子を申し立て、意見陳述を言い渡されるという滑稽風味なものである。

また、『水戸紀行』などは、文体も幸田露伴の『風流仏』をまねたような雅文体の風合いであり、彼が露伴のこの作に如何に惚れていたかが察せられる。

 子規は初めて世に問おうとして結局辞退した小説『月の都』は、幸田露伴の『風流仏』を模したと自らもいい、作品を引っ提げて露伴に許しを請うたものだが、確かにそれっぽいと言えば易く、如かしながら小説としてのダイナミズム、ストーリー展開の期待感という点では、比べようもないという気がする。 
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朗読者 (新潮文庫)

ベルンハルト シュリンク

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2011/12/09
ベルハルト・シュリンクの『朗読者』。読み始めてすぐモニカ・ベルッチ主演の「マレーナ」を直感した。母親ほども年差の離れた女性と15歳の主人公の交わり。愛し合う前に本の読み聞かせをねだる女性。習慣化する手順には重い過去が秘められていた。作者のシュリンクは1944年生まれ。当然戦争は経験していない年齢だが、秘められた過去にはドイツの暗黒時代、ナチスドイツのユダヤ人収容所の看守であった彼女の「罪」を裁く後半の場面が少年であった主人公との恋の場面との格差と連鎖が驚愕的な秘密によって納得される次第となっている。
 ドイツ人らしさと言うべきか女性の美徳であろう潔さと思いやりの葛藤が印象的でもある。
 ドイツ人からみた父親時代の嘗てのドイツ(殊更ファシズムの暗部)のとらえ方というのも初めて感じた処である。
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新編近代美人伝〈上〉 (1985年) (岩波文庫)

長谷川 時雨

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伝法肌
2011/12/18
ざっと最初のところを読んだが、これは伝法肌の希有な人物であることを直感した。言葉使いなどは市井の人という感じだが、人物評価観察などは鋭く選び抜いた文章力はある高みに達しているという印象だ。美人伝というが、美貌容姿ばかりのことでは当然ない。三上於菟吉を助けて日本初の女優となった「貞奴」、「蕗の匂いと、あの苦み」と評した「樋口一葉」、「平塚雷鳥」、尾崎紅葉の『金色夜叉』のモデルとなった「大橋須磨子」、同じ須磨子で女優の「松井須磨子」、後は全然知らなかった人物がずらっと並ぶ。美人なうえ数奇な境遇という人物ばかり・・・なようだ
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盲目物語 (中公文庫)

谷崎 潤一郎

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2011/03/04
大河ドラマ「江」でみるお市の方をメインに描かれた歴史小説。
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子規全集〈第13巻〉小説・紀行 (1976年)

正岡 子規

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2010/03/30
幸田露伴『風流仏』を模した小説『月の都』
日清戦争で記者として従軍した時のものを小説化した『我が病』
他根岸を離れ各地を訪れて記した紀行文各種
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子規全集〈第12巻〉随筆 (1975年)

正岡 子規

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2010/03/30
日清戦争に従軍記者となって大連に渡った時の記録『陣中日記』
帰国後大喀血の養生の為神戸の病院にあって記した『養痾雑記』
など新聞「日本」に掲載した記事等が並ぶ
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白洲正子自伝 (新潮文庫)

白洲 正子

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2010/03/15
示現流薩摩隼人の祖父樺山資紀やセイゴウサン(西郷隆盛)の地脈をどこかに感じる韋駄天夫人、白洲正子の他著では語られなかった生い立ち人生の書。
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子規全集〈第4巻〉俳論俳話 (1975年)

正岡 子規

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2010/03/12
「獺祭書屋俳話」が重要
「かけはしの記」「旅の旅の旅」
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