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この本の感想・レビュー(1件)
かんばせ、かんばせ
本作は美少女本です。 といっても、美少女の写真が出てくる…なんていうものではありません。 「白い丸」を絵に書いたようなごく普通の女が、生まれ変わりたいとある日思い立って、何人かの男性と交わるのです。その結果、生まれたのが七竃という女の子。 その男達の中で最も美形であった男を父親として生を享けたため、真の美少女となるわけですね。 “真の美少女”なんて軽々しく書いてしまいましたが、真の美少女の定義は何か…なんてつまらないように見えて、この作品の最後に元アイドル歌手で今はプロダクションのスカウトを担当している“乃木坂れな”は真剣にそれを追い求めているわけですね。 美少女は都会にはいない。地方都市にひっそりと暮らしている…んだそうですよ。 そして、本作の舞台はというと旭川です。 筆者である桜庭一樹は、どこか寂れた地方都市を舞台とした作品をしばしば書きますが、内陸にあり閉塞感のある(実際はそうじゃないんでしょうが)、しかも東京からは離れた極寒の北の地方都市という設定から旭川ということになったんでしょう。 まあ、どこが舞台に敵しているかという問題はさておき、完璧な美少女というと、私は沢尻エリカを連想してしまうのですが、この主人公である七竃はどうもタイプが異なりますね。本作では「かんばせ」という表現が至る所に出てきます。「かんばせ」という言葉の響きは、どこか古風なものを感じさせます。七竃の性格も社交的ではないし、自分の律することができる、古い時代の美少女といったところかな。 そうか、どこか今の美少女と言われる女の子たちは、カワイイだけで、「完璧」とは思えないですね。そう、神秘的ではない。そういった真の美少女は、その内面までが「かんばせ」に現れるということか。。 そう考えると、そういった神秘性を持ち合わせた美少女って遭ったことがないような気がします。 この作品では、七竃を囲む7人の大人も同時に描かれているわけだけど、圧倒的な存在感を持つ七竃にこの物語を締めくくってもらいたかったですね。最後に「美少女」とは何かを乃木坂れなに語らせて終わってしまったのはもったいない気がします。 作品として見ると、私の感想がレベルが低いだけで、どういうジャンルになるのか不明(桜庭一樹にありがち)な、不思議な世界に引き込まれるいい作品でした。
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