九月が永遠に続けば (新潮文庫)
沼田 まほかる
「国内ミステリー部門第1位」の帯の誘惑
帯に惹かれて購入しましたが、全く趣味ではありませんでした。 ホラーサスペンスと呼ばれるものが好きではないからということもありますが、余りにも暗い物を抱え込んでいる人間ばかりで、そこに踏み入り、事情を知る傍観者にはなりたくないという気持ちもあったのかもしれません。 物語を読むというよりは、感情なく新聞を読む感じに近かった。 完全に趣味の問題かと思います。
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さぶ (新潮文庫)
山本 周五郎
栄治の成長の日々を追体験
無実の罪をきせられ、復讐心に取りつかれ人間不信に陥った栄治が、人との係わりの中で、少しづつ気付きを得て変わっていく栄治の精神修のお話。 栄治の人間としての成長を見守り、見届けた気分になる1冊です。 タイトルの‘さぶ’は、栄治を何の見返りもなしに献身的に支える幼馴染で、さぶの視点から語られることはありません。 栄治のお話なのにタイトルはさぶ。 ここに著者の視点が明確になっています。 さぶの存在が栄治を救うと同時に、人間という弱い存在の全部を肯定しているように感じました。 欲に目がくらむのも人間、しかしどこまでも自己犠牲を厭わないのも人間。 また、社会も善悪、白黒できっぱりと選別できない複雑さを含んでいるもの。 何事も二元論で語られることなく、全ての者の事情を汲もうとする著者の人間・社会に対する対峙の仕方がとても好きです。 浮世の面倒臭いことは限りないけれど、人間って悪くないと思わせてくれるのが著者の真骨頂です。
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日本中枢の崩壊
古賀 茂明
今が日本の分水嶺
仙谷さんに恫喝された経産省の古賀さんが、霞が関の実情を証言。 原発事故の裏で何が行われていたか、政権交代によりいかに公務員制度改革を後退させ天下り規制を骨抜きしたか、政治主導を謳いながらも、財務省に懐柔されるしかなかった民主党政権の内状、私心優先の官僚の政策がいかに日本を壊しているのか・・などなど非常に興味深い内容。 また、TPPや増税に対する見解及び、今後の起死回生の策も提示しています。 読んでいると日本の未来を憂うしかない内容ですが、まだ、古賀さんのような方がおられることに希望が持てる。 ただし辞任の件、その後どうなったのか気になります。 それにしても、利権に与せず信念を貫く方は、どの世界でも必ず弾かれてしまう。 結局、既得権益を死守したい政治家、官僚、学者にとっては、国民が愚かであればあるほど都合が良いに違いない。 メディアも愚民化に加担してるとしか思えない。 市井の臣は騙されないようにしなくてはいけない。
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「はだかの王様」の経済学
松尾 匡
右に行ったら左にも~
副題は「現代人のためのマルクス再入門」 本来の人間から観念や理想、現状といったものが離れてしまう「疎外」という見地から、経済や思想論を分かりやすく解説した本・・という風に理解しました。 「疎外」を用いて、貨幣経済の始まりから丁寧に説明してあり、専門用語も平易な比喩を用いて解説されています。 経済音痴には有り難い分かりやすさでした。 著者は、理念の独り歩きの危険性に目覚め、いわゆる古い体質の左翼から脱却しようと努めた時期もおありだそう。 古い体質の左翼の諸悪の根源とは、「自分たちだけが真理を悟ったように思い、大衆を政治意識が低いと見下す態度」であると。 また、ナショナリズムが蔓延する今だからこそ(2008年初刊)理念の為に生身の人間個人が犠牲になるような理念の暴走に警戒すべき・・というのがこの本を書かれた動機だそうです。 ちょっこりさらりと漏れ出る歴史観、政治観はもちろん左側でした。
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東京奇譚集 (新潮文庫)
村上 春樹
ぼんやり尽くし
時間なのか、次元なのか、空間なのか、どこかが歪んだ世界の短編5編。 それがファンタジーなのかホラーなのかは、恐らく受け取り手次第で。 ぼんやりとした世界にぼんやりと入り、ぼんやりのまま読み終え、ぼんやりとした感想しか残りませんでした。
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スプートニクの恋人 (講談社文庫)
村上 春樹
スプートニクとは世界初の人工衛星
やっぱり登場人物たちは芝居じみた台詞を言う。 愚鈍さからは程遠いけれど、ある種の無意識の選民意識を持っている人たちで、ノルウェイの森と系統的に同じ人たち。 そんな人たちばかりの狭い人間関係が作る世界。 そして、またもやこの世界が嫌いではありませんでした。 読み終わってもしばらく反芻していたい世界でした。 最後は全く謎のまま現実的ではないけれど、それはどうでもいい。 きちんと結していない気もするが、それもさえもどうでもいい。 ストーリーとは関係ないが、スプートニク2号に乗せられ宇宙に飛ばされ回収されなかったライカ犬のことを思うと泣けた。 どうしても交わることのない恋人たちより、むしろこちらの方が切なかった。
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美貌と処世 (文春文庫)
林 真理子
すぐにお腹いっぱい
時間つぶしにと購入したけれど、数ページめくってもうお腹いっぱいでした。 言葉遣いも好きじゃないことに今さら気がつきました。
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武器なき“環境戦争” 角川SSC新書 (角川SSC新書 109)
池上 彰/手嶋 龍一
本質を読み解くメディアリテラシーの重要性
池上さんと手嶋さんの対談。 京都議定書をめぐる各国の思惑、環境問題が今後の世界のしくみを変える主軸になっていくことを解説しています。 分かりやすいが物足りない。 表面的なことだけで、サラッとしすぎている。 でも、それが何でも分かりやすく解説できる池上さんの本なのであって、あくまでも導入本として読むべき本。 事実解説だけではなく、お二人の踏み込んだ見解も知りたかった。 そして、この本では原発については一切触れていないが、お二人はどう考えるのだろうか?
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図解でわかる! ニーチェの考え方 (中経の文庫)
富増 章成
人は究極にポジティブに生きれる・・それ、異議なし!
とても分かりやすくて有り難い本。 これを読んで理解出来なければ、ニーチェを理解する脳みそは残念ながら持ち合わせて産まれなかったんだな・・と、きれいさっぱりあきらめもついたかもしれないと思える程、とにかく分かりやすい。 もうそろそろニーチェ自身が書いた本を読んでも理解出来るのではないかな・・と錯覚もさせてくれる。 いや、本当に理解出来るのではないか?と思ってしまっている。(かなり錯覚か?) ニーチェがますます好きになり、なぜニーチェが好きなのかも自分の中で明確になりました。 気になって著者のプロフィールを見ると、著者は大手予備校の日本史の講師。 「難解な哲学や歴史を分かりやすく説明するために、授業や著作に専念している。」 どうりで納得。 この方の講義を受けてみたい。
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ノルウェイの森 下 (講談社文庫)
村上 春樹
いろいろと想定外
今年初めて書く感想。 登場人物には誰一人として共感は出来ないし、むしろ友達にもなりたくないタイプばかり。 芝居じみた台詞も無理。 現実にこんな台詞を言うような人がいたら速やかに撤退すると思う。 一番多感な思春期の最も多感な瞬間に読んだとしたら、その時はもしかしたらうっとりするのかもしれませんけど。 けれど圧倒的な世界観があって、すぐに物語の中に引き込まれました。 下巻まであっという間に読み切らせるパワー。 読後の余韻もずっと続いているし。 誰にも共感できないのに、これは凄いことだと思います。 自分が、とてもその世界に登場するような種類の人間ではないからこそ、独特の世界の余韻を楽しみたいのかもしれません。 人の心の中も性もあからさまなのに無機質な世界。 この本が好きなのか嫌いなのか、まだ判断がつきません。 いつまでもそんな事を考えるということは、もしかしたら好きなのかもしれません。 そもそも今さらこの本をチョイスしたのは、 「昔読んでいないし最近また映画化されたし・・」 とか自分に言い訳しながらも、最大の動機はノルウェイでノルウェイの森を読んでみたかったからというこっ恥ずかしい理由からでしたが、実際にはノルウェイという場所は無関係でした。 何もかもが想定外。
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