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天使の牙〈下〉 (カッパ・ノベルス)

大沢 在昌

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トンデモな設定に力技
2009/07/31
助けを求めてきた「組織のボスの情婦」とそれをエスコートする「女刑事」が共に撃たれて、一方の体と他方の脳が無傷だったので脳移植をしてあわせて一人にしてしまう…めちゃめちゃご都合主義でトンデモな話だけれど、そのトンデモな設定以外は大沢ワールド炸裂。おもしろかった。
誰が敵で誰が味方かわからず、奮闘するヒロインがいい。
「実力のある人の脳」が「絶世の美女の体」に宿れば天下無敵じゃないかという勝手な設定…だけならなんてことはないが、鍛えていない体で以前のようなつもりで動こうとして失敗したり、というところが実にいい。(運動が)できる人ってある意味傲慢で「アンタなんか鍛えてないからダメなのよ」って所あると思うんだけど、「鍛えりゃできると言ったって限界あるんだよね」っていうの、ホントに実感する。死ぬほど練習したって誰でも100M10秒で走れる訳じゃないモンね。
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アレックス・タイムトラベル (ハヤカワ文庫 JA (669))

清原 なつの

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タイムトラベルと青いバラ
2009/07/30
漫画。でも少女マンガと侮るなかれ。上質のSFである。(ハヤカワ文庫だしね)

表題作はタイムトラベルものであり、逃亡者モノでもある。タイムマシンを持っていても決して全能ではなく主人公の抱く無力感のようなものが心に響く。読者が途中で放り出されたような読後感だが、それはそれでいいのかも。
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塩の街―wish on my precious (電撃文庫)

有川 浩

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デビュー作なりの初々しさ
2009/07/29
自衛隊三部作…ということで読んでみた。実は再読(娘蔵書)細かい所忘れていたので(汗)
自衛隊三部作といわれるほど、三部作らしくはないかも。「海の底(海)」「空の中(空)」とくればこれは陸上自衛隊のはずなんだけど、関係ありそうなのは「立川駐屯地」が出てくることのみ、かも。登場人物は空飛んじゃうわけだし。

中学生が初めて手に取るにはこの表紙絵はいいのかもだが、内容と合っていないのでかえって邪魔。初出がラノベなので仕方ないのかもしれないけれど、いわゆる「萌え絵」で、(私はこれでは「萌え」ないが…趣味の問題だけどね)大人が読む本、とは遠いなぁ…

前半の「流されるまま」な所を追求すると新井素子風かな?私の好みとしては後半の軍事部門もっと書き込んで欲しいが。
「荷物になるなら軽い荷物になりたい」「重い荷物になれ」なところがいい。世界を救うために、よりも自らの欲望を果たすのために世界を救わなきゃ、の方が小気味いい。ヒロイン&ヒーローよりも入江氏の開き直った悪役風味なところが好きだったりする。いいよね。
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うなぎ鬼

高田 侑

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都市伝説系ミステリ
2009/07/28
グロっちゃーグロだけどね、といった感じ。ホラーというより都市伝説を絡めたミステリだが、謎解きというよりは社会派かも(社会派風味は薄いけど)

ぞわぞわ感はあるが、帯のアオリ(「超弩級の暗黒ミステリー」)は大げさだ。
ストーリー的には面白いが、主人公が流されるままというか共感できないところがちょっと減点、でも雰囲気はある。(結局好きなんだな…)
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裂けた瞳 (幻冬舎文庫)

高田 侑

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ホラーというよりちょいSF?
2009/07/27
高田 侑氏デビュー作。ホラーサスペンス大賞受賞作ということだが、ちょいグロ描写はあれど(たいしたことない)ホラーというよりも「特殊能力を持ってしまったヒトは幸せか」の超能力モノのような気がする。(愛って怖いのよ、って言われりゃホラーだけど)

デビュー作であり、文章はうまいが主人公に好感が持てないためちょっとマイナス評価。悩める主人公が不倫なら不倫、家族愛なら家族愛に徹すればいいのに。でもそう割り切れないところが人間、かもね。
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秘境添乗員

金子 貴一

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内容はいいんだけど文章が硬い
2009/07/26
アメリカ・エジプトに留学経験があり双方の言葉に堪能。アラブと日本の架け橋になろう、という意志を持ち自衛隊の派遣部隊にも協力という経歴。文化の違いやなかなか行けない世界遺産などのネタは面白い。
文章が硬く読みにくいのが難点。たいして厚くない本なのに何日もかかってしまった。

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イン・ザ・プール (文春文庫)

奥田 英朗

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伊良部=芋洗坂係長?
2009/07/25
娘が図書館から借りてきたもの。題名から、水泳の話なんだと思い込んでいたのだけれど…水泳部かなんかのスポーツもの、とは全然違ってた!

病院へやってくる「病んだ」患者たち。でも一番おかしいのはその医師だ。
自らの欲望に忠実でやりたいことやっているようで、結果患者は治っているんだから伊良部医師は名医なのかも。治療法が端的にいえば「やりたいことをやれ」「真実を自覚せよ」で、カウンセラーとしてそれは正しいような気もする。

読書メーターで他の方が書いている伊良部=芋洗い坂係長説を読んで私もそれでしか想像できなくなってしまった(笑)でもマユミは土屋アンナじゃなくもうちょっと色白肉惑系の美女(ちょっとツンデレ?)がいいなぁ…
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河童・戯作三昧 (角川文庫 あ 2-8)

芥川 龍之介

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芥川って実は若いんだな
2009/07/24
私にとって芥川とは「学校で読まされて」「感想文書かされる」ものだった。「教科書に載るような人」なので強く正しいのに違いないと。
それがこの「河童」ではどうだ。生まれてきたくはないと言い、言葉によって病んで死んでしまうほど繊細でか弱いではないか。河童の世界にいても自らの世界へ戻っても結局居所は無く、河童の世界へ「帰りたい」と思う。そこまで病んでいる精神を、芥川はなぜ描いたのか。
それは彼もまた病んでいたからであり生きることに絶望していたからかもしれない。

子供の頃思っていたよりも「河童」は読みやすかった。芥川を「お堅い」「教科書」と思い込んでいたからかも。すっごいオジサンのように思っていた彼も、実は35歳で亡くなっていたのだから現代ならまだ「青年」の範疇かも。若かったんだよね。(今じゃ、肉体的にも50歳でもまだまだ「若い」もんね。マイケルにしろ郷ひろみにしろ、50とは思えない)


その昔(笑)上高地の河童橋は何度か訪れた。元山岳部の親に毎年連れて行かれたのだ。元山岳部のミニ同窓会ともなっていたその登山会は、お互いみな子持ちの(子供の年齢も近くて)主婦であるためか例年お盆すぎだった。お盆も過ぎた夏山は雨も多く結局山に登れやしないのだが梓川の水の冷たさだけは覚えている。いかにも河童がいそうな川だ。
…子供としては苦労して山なんか登るよりも、自然博物館(というほどのものでもなかったが)に行ったり一年ぶりにあう友達と宿でトランプしたりしていた方が楽しかったりした。懐かしい。
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サクリファイス

近藤 史恵

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ロードレースの魅力再認識
2009/07/23
自転車レースでも、競輪ではなくロードレース。ツール・ド・フランスくらいしか知らなかったなぁ。表彰台にあがるのは個人だけどチームプレイとか、なじみが無いスポーツだが、引き込まれるように一気読み。

さらっと書かれているので読みやすいのだが、キャラもさらっと通り過ぎてしまう印象。主人公にしろエースにしろ、もう少し書き込まれていたら親近感がわいたかも。「犠牲」の意味も深まるんじゃないのかな?アシストの説明はわかりやすかった。今度ロードレースを見ることがあったらその辺注目してみよう。

あと、他の方の感想にもあったが元カノの魅力がイマイチ。
香乃の最初の裏切りはアリかも、とは思うんですよね。恋は一瞬で落ちるものかもしれないし、高校生で若いし。でも一応社会人になったことだし、元カレに、大事なレースの真っ最中に会いに来るとか心を乱すようなことを言うとかそういうところがまぁ「まっすぐ」なのかもしれないけれどイヤな女だと思ってしまいますね。「きれいだ」「まっすぐに見る」「ふりかえらない」っていう感じの表現しかないのも、彼の目から見て表面的な魅力しかないのかもしれないなぁ、なんて。
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魔王 (講談社文庫)

伊坂 幸太郎

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「力」を持った人間は幸せか
2009/07/22
続きがあるらしい、と借りてから気づいた。…図書館の予約はまだまだだもんな…

無関心で流されていると、いつの間にか共犯者となってしまう。犯罪ではなく、世の中、政治の話だ。考える、行動することよりも無難に流されていく方が楽なのだけれど。だからこそ「考えろ、マクガイバー」なのだ。伊坂幸太郎らしくないとか、政治的メッセージを入れた小説だから面白くないとか言う意見もあるみたいだが、こういう小説という部分で何か少し「考える」ってことは大切なんじゃないかな、と思ったりする。

政治的なことはさておき、超能力を持った人がどう生きるかという観点から見ても実にうまい。よくある「エスパー」ではなく微妙な「超能力」、持った人は幸福か不幸か。その力を使うことの是非は。
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